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Family 事実婚

 事実婚(婚姻届を出さない結婚)への体験談的アドバイスです。

事実婚

 事実婚とは、婚姻届を出していない結婚のことです。私と妻は、夫婦別姓にしたかったので、いろいろ考えた結果、事実婚という結婚のかたちをえらびました。
 NHKが藤原紀香さんをヒロインに、「事実婚」をテーマにした連ドラをやるみたいですけど(※執筆時点。すでに放送終了)、普通の事実婚の家庭には、ドラマチックなことは、何もありません。ただの普通の家庭です。

 また、私たち夫婦は、みんなが事実婚にすべきだとか、みんなが夫婦別姓にすべきだなんて、まったく考えていません。本人たちが好きな方法をえらべばいいと思っています。でも、事実婚をはじめとした夫婦別姓の人も、それを容認する人もふえているのは事実です。

 ただし、いくら増えているとはいっても、私たちが事実婚をえらぶときにも、いろんな不安がありました。そこで、おなじような不安をかかえている人むけに、私たちの「先輩」としての経験を紹介したいと思います。少しでも、不安解消に役立てば幸いです。

※あくまで私たちの経験談ですので、細かい点などは、弁護士さんなどに相談して下さいね。内容には正確を期していますが、保障するものではありません。あくまで参考にしてください。私たちも、本当に悩んだときは、弁護士さんと相談してきました。。


目次

1、事実婚と、法律婚とのちがいは?

 

Q1)事実婚では、夫婦の権利や義務はどうなるの?

 

Q2)婚姻届を出さずに、けじめがつくの?

 

Q3)事実婚でも、夫婦と証明してくれる書類はあるの?

 

Q4)事実婚は、法律婚とくらべて不利ですか?

 

Q5)事実婚でも「家族割引」は使えますか?

 

Q6)事実婚と、婚姻届を出した人の「通称」使用はどう違う?

2、事実婚で、子どもができたら?

 

Q1)事実婚で、子どもができたら、どうなるの?

 

Q2)事実婚の子どもの相続権は?

 

Q3)事実婚の子どもの姓はどうなるの?

 

Q4)子どもが生まれてから、婚姻届を出せるの?

 

Q5)子どもの「親権」とはなんなの?

 

Q6)両親が別姓だと子どもは混乱しないの?

おわりに

1、事実婚と、法律婚とのちがいは?

 

Q1)事実婚では、夫婦の権利や義務はどうなるの?

A1)基本的に、ふつうの婚姻届を出した夫婦の権利・義務と同じです。
 民法では、同居・協力・扶助義務や、生活費の分担義務、離婚時の慰藉料請求権、財産分与請求権などが、"ふつう"の婚姻届を出した夫婦と同様に認められています。また、年金や健康保険などの制度でも、婚姻届を出したか出していないかにかかわらず夫婦の権利は同じです。
 法律上は、相続などをのぞいて、多くの場合、婚姻届を出していない「事実婚」と、婚姻届を出した「法律婚」は、権利・義務が同じだと言ってもいいでしょう。

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Q2)婚姻届を出さずに、けじめがつくの?

A2)けじめのつけかたは、婚姻届を出さない「事実婚」でも婚姻届を出す「法律婚」でも、人それぞれだと思います。
 私たちは、きちんと結婚式(正確には、友人たちが主催してくれた「結婚を祝う会」)をあげるなど、親族や恩師などもふくめて職場・友人に報告をしましたので、二人のあいだでも、二人のまわりの人のなかでも、夫婦になったというけじめがつきました。
 また、A1でのべたように、事実婚でも、法律上は、ほとんどの場合、ふつうの夫婦と同じ権利・義務が生じています。

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Q3)事実婚でも、夫婦と証明してくれる書類はあるの?

A3)婚姻届は出さなくても、住民票は一緒にしたらどうでしょうか。
  「夫(未届)」か「妻(未届)」として、住民票に記載できます。私たち夫婦では、じゃんけんか何か忘れましたが、世帯主は妻に決めたので、住民票では、妻が「世帯主」、私が「未届の夫」となっています。まあ、収入も妻の方が多いし、いいんじゃないでしょうか…。
 役所の手続きなどでは、「世帯」が重要な意味をもっていることが多いのですが、こうしておくと、二人が同一世帯としてあつかわれます。たとえば、子どもの児童手当は、「法律婚」の夫婦とおなじく、夫婦どちらかの収入の多い方を基準に、支給対象かどうかが決められます。また、選挙ハガキなども、夫婦一緒に1枚でとどきます。
 また、住宅を借りるときなども、これがあると便利です。詳しくは忘れましたが、こうしておけば、夫婦として、都営住宅などに入居を申し込むことも可能だと聞いたように記憶しています。
 あと、夫婦のどちらかが収入が少なくて、もう一人の扶養家族となっている場合は、夫(または妻)の入っている健康保険から保険証をもらえますが、その「続柄」の欄に、「妻」とか「夫」などと書いてもらう手もあるそうです。

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Q4)事実婚は、法律婚とくらべて不利ですか?

A4)A1でも述べましたが、夫婦ともに元気であるときは、多くの場合、「事実婚」の夫婦の権利・義務は、婚姻届を出した夫婦とかわりません。
 ただし、法律上差別されていることもあり、不利なことも、いくつかあります。
 いちばんは、相続の権利です。夫婦が婚姻届を出している「法律婚」では、夫や妻が死んだとき、配偶者に相続の権利がありますが、事実婚では、配偶者に相続の権利がありません。そのため、パートナーに財産を残したいと思ったら、遺言状を書いておかなければなりません(それでも相続税の計算方法などは、配偶者が法定相続人の人数に入らないなど不利)。
 遺言状の書き方は、いろんなところで、よく紹介されていますので、それを参考にしてください。僕もブログで公開したことがあります。
 相続以外では、家族が病気をしたときの確定申告での医療費控除のあつかい(かえってくる税金の額)も、婚姻届を出しているかいないかで違います(友人情報。私は未確認です。幸い、そんなに医療費がかかったことがないです)。
 あとは、いろんな企業の「家族割引」「ファミリー割引」が使えるかどうか、という問題がありますが、これは、次のQ5をお読みください。

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Q5)事実婚でも「家族割引」は使えますか?

A5)企業によって、「家族割引」「ファミリー割引」が使える場合も、使えない場合もあります。これまでの結婚生活で、「法律婚」とくらべて不利だと思ったことは、あまりないのですが、実は、日常生活で不利だと思わされるのは、この「家族割引」が使えないときですね。
 ある保険会社の海外旅行保険のファミリーパックに入ろうとしたら、法律上の婚姻関係でないからダメと断られたことがあったり、最近でも、DCカードに家族カードはつくれないと言われたなど、いろいろあります。企業に問い合わせてみましょう。また、本社のいわゆる「お客様窓口」に問い合わせて「OK」でも、現場の窓口では断わられる場合もありますが、そういうときでも、ねばり強く交渉することが大切だと思います。
 また、Q3でものべたように、住民票を一緒にしておくと、なにかと便利です。最近(06年5月)でも、私が貯めた航空会社のマイルを妻が家族として利用しようとしたとき、私が妻の「夫(未届)」と表示されている住民票を郵送すれば夫婦と認めてもらえ、OKでした(いちいち郵送しなくても、一度郵送したので、今後ずっとOKだそうです)。
 どの企業の「家族割引」が使えるか、使えないかは、雑誌「AERA」2005年2月14日号に一部紹介されていますので、参考にしてください。

 なお、このことに関する私の文章「◆事実婚◆企業も早く家族と認めて」が、朝日新聞2月19日付け朝刊「私の視点」に掲載されました。その後、携帯電話の「ファミリー割引」などは、事実婚でも住あたり前のように使えるようになるなど、大きな変化がおきています。

 事実婚◇企業も家族とみとめて

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Q6)事実婚と、婚姻届を出した人の「通称」使用はどう違う?

A5)婚姻届を出して戸籍上の名字を変えた上で「通称」を使っている人の場合は、運転免許証や住民票など、公的な書類は、戸籍上の名前になってしまいますよね。職場によっては、健康保険証なども、そうですね。
 それにたいして、事実婚では、妻の姓と夫の姓が戸籍上も別になりますので、自分にかんする書類は、公的なものも私的なものも、全部、自分がふだん使っている名前になります。いろんな契約をむすぶときなども、名前の使い分けがまったく必要ないというのは、かなり便利です。

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2、事実婚で、子どもができたら?

 

Q1)事実婚で、子どもができたら、どうなるの?

A1)父と母になります(笑)。
 事実婚のままで、子どもができたら、夫が認知をします。この場合、子どもの姓は、妻の姓となります。また、親権者(→Q5)も妻(子どもからみた母親)となります。

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Q2)事実婚の子どもの相続権は?

A2)事実婚の子どもは、両親の財産を相続できます。しかし、「非嫡出子」という扱いになります。
 これは、もし、夫か妻か(子どもからみて父か母か)が死んだとき、その死んだ親に「法律婚」のもとで生まれた別の子ども(「嫡出子」といいます)がいた場合は、親の財産を相続する権利が、その子にくらべて半分になるということです。

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Q3)事実婚の子どもの姓はどうなるの?

A3)A1でのべたように、何もしなければ妻(母親)の姓となります。
 子どもの姓を、夫(父親)の姓と同じにする場合は、家庭裁判所に行き、姓の変更の手続きをとらなければなりません。こういう方法をとる人もいますが、けっこう大変そうでした(最近は、あまり大変でないという声もききます)。


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Q4)子どもが生まれてから、婚姻届を出せるの?

A4)出せます。この場合は、婚姻届を出して(かりに一時的にせよ)「法律婚」となるので、夫による認知は必要ありませんし、親権者も母親と自動的に決められるわけではありません。

 考え方は、人それぞれだと思うのですが、私たち夫婦の場合は、今の法律の範囲内で、子どもの権利をまもることを最優先し、出産時に、婚姻届を提出しました。
 それは、子どもが「非嫡出子」になるのを避けるためです。もちろん、私たち夫婦には、別に子どもはいませんし、いまも夫婦円満にやっています。しかし、将来にわたって、離婚・死別して、再婚する可能性がゼロとは言えません。そして、再婚するときには、婚姻届を出すかもしれません。そうすると、将来、そこで生まれた子どもは「嫡出子」になり、いまの子どもは「非嫡出子」となり、私たちが死んで相続する時に、差別がうまれてしまいます。子どもは親を選べないので、子どもの権利を最優先することにしました。

 そこで、子どもの姓を私(父親)の姓にしたかった私たちは、戸籍上は、妻が、私の姓をなのる婚姻届をだしました。この場合、婚姻届と出生届を同時に区役所にだせました。病院からもらった出生証明書は、母親の名前が「旧姓」になっていますが、婚姻届と一緒にだされれば「姓」の変更が確認ができるので、なんら問題がないと区役所で言われました。こうして、子どもの姓は、私の姓になりました。
 そして、子どもの問題は解決しましたので、一週間後に離婚届を出しました(いわゆる「ペーパー離婚」です)。妻が元の姓にもどり、いまでは、また二人は、事実婚の夫婦となっています。

 余談ですが、このために、私と妻は、戸籍上は「バツイチ」です。夫婦げんかをしても、「じゃあ離婚する?」「もう離婚したじゃん」というジョーク(?)で、場がなごみます(笑)。


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Q5)子どもの「親権」とはなんなの?

A5)私が弁護士さんに聞いたところによりますと、だいたい、次のようなことです。
 未成年者が法律行為をするとき(たとえば裁判をおこす、財産を相続する、保険の契約をするなど)には、親権者の承諾が必要であり、親権とは、子どものそういう意思決定を承認する権利のことです。
 婚姻届を出した夫婦では、父親と母親の二人が子どもにたいして「共同親権」をもっています。しかし、それ以外の場合は、親権者は法律で一人に定めるよう決められています。ですから、事実婚では、父か母かどちらか一人しか親権者にはなれません(出生時に婚姻届を出さない場合、自動的に親権者は母親となります)。けっこう大事な権利です。ただし、いわゆる離婚時の「養育」の問題とは、直接関係ないそうです。

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Q6)両親が別姓だと子どもは混乱しないの?

A6)これを書いた当時、うちの子はまだ3歳でしたので、その範囲でいえば、まったく混乱していませんでした。小学生になった現在もまったく混乱しておらず、夫婦別姓の両親をそのまま受けとめてくれているようです。
 子どものおともだちや保育士さんからは、「○○くんのママ」「○○くんのパパ」とよばれていましたし、自分も「○○の父」「○○の母」などとなのっていましたので、あまり問題ありませんでした。ただし小学校に入学してから、学校やPTA関係では苗字だけを使うことが多いので、まだまだ別姓に理解がないときもあります。
 「夫婦別姓だと家族の絆がうすれるのでは?」などという方もいらっしゃいますが、うちは、けっこう仲のいい家庭だと思います。そんなことは関係ないという信念でやっています。

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おわりに

 これから先に、新たに問題に直面したら、そのときは、どうやって解決したかも、みなさんにご報告したいと思っています。このページは、自分の体験や、友人やみなさんから聞いた話などをもとに、充実、訂正や更新をしていきます。
 あとは、こういう不安や面倒なことをなくすためにも、はやく民法を改正して、夫婦別姓もえらべる制度を導入したいものです(法務省の審議会も世論も認める方向ですが、自民党などの政治家が抵抗しているので実現しないのです)。

(最新更新、2012年1月)


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